珍味ここだけの話

コラム

「乾珍」と「ぬれ珍」について

「全国珍味商工業協同組合連合会」(全珍連)の9つのカテゴリーとは別に、珍味業界の人はよく、珍味を「乾珍」と「ぬれ珍」という2種に分けて話します。

◇乾珍・ぬれ珍
乾燥した「乾珍」と、しっとり濡れたように水分値の高い「ぬれ珍」。

膨大な種類をざっくり2つに分けたこの呼び名は、業者や商品群のすみ分けをとても分かりやすく表していることもあり、とても便利で、日常的に使われています。
一般的にあまり耳なじみがないかと思いますが、「あそこは乾珍の会社だから」「あのエリアはぬれ珍が強いんだよ」など、業者同士の会話では当たり前のように登場します。

ただこれはあくまでも通称で、「水分値〇%以上がぬれ珍」などの正式な基準はなく、その由縁も、幾人かの業界の方にもお伺いしましたが、この文章を書いている時点(2021年)で裏付けられる資料を確認することはできませんでした。

◇通称のゆえん
いつ頃にこの言葉が生まれたのだろう?と不思議に思い社内で確認してみると、弊社会長が入社した1975年頃にはすでに使われており、さらにはそれ以前に創業者が各地の取引先の皆さんと日常的に使用していたはず、という話も出てきました。

弊社の創業が1961年(昭和36年)で、海産物の取り扱いが増えたとされるのが昭和30年代であることを考えると、この辺りから、当時海産物の売買が盛んだったアメ横(上野アメ横商店街)やその界隈に出入りする業者間で「分かりやすく使いやすい業界用語」として使われ始め、全国に広まったのでは?と推察するに至りました。

◇弊社なりの分類
その頃に活躍されていた方々がほとんど鬼籍に入られ、資料もなく、かつ業界に長い諸先輩方にお話を伺った中でも皆さま「通称だからねぇ。詳しいことは分からないねぇ」と仰って明確な答えが見出せなかったのですが、珍味業界ではもう日常的に使っているこの通称をぜひ紹介できたらと思い、弊社なりにではありますが以下のように分類をまとめてみました。

あくまでも、なるみ物産による類推で、正式なものではありませんので、ご参考までにご覧いただければと思います。

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1.乾珍(乾燥珍味)
乾燥した珍味の総称で、常温で保存可能なもの。
さきいか、いかの燻製、魚の浜焼き・ロール、おしゃぶり・巻き昆布、いか・のりフライ、豆、ナッツ、アーモンドフィッシュ、焼めざし、チーズたら、ジャーキーなど
※全珍連の分類では、1.燻製品類 5.焙焼品類(一部)6.煮揚物類(一部)7.裂刻品類 8.圧伸品類などか

2.ぬれ珍(濡れ珍味)
乾燥しておらず、しっとり濡れたように水分値の高い珍味の総称。要冷蔵の珍味や常温のお惣菜など。
いかの塩辛、うになど海産物の瓶詰、松前漬、佃煮、漬物、おせち(中身)、チャーシューなど
※全珍連の分類では、2.塩辛類 3.あえもの類 4.漬物類 5.焙焼品類(一部)6.煮揚物類(一部)などか

※ぬれ珍参考資料
「塩辛や松前漬けなど、乾燥していない珍味の総称」(日刊水産経済新聞「用語解説」より) 
「函館地区における濡れ珍味加工業は従前からイカ塩辛や松前漬などで知られてきたものの、総じて乾燥珍味加工業に隠れた存在でしかなかったが、昭和50年代に濡れ珍味が珍味加工の新たな領域として台頭してくることで乾燥珍味に比肩すべき業種となってきた。」(「函館市史デジタル版 通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み~濡れ珍味加工業の沿革~」より)

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また、新しい資料などを入試しましたら随時ご報告させていただきたいと思います。

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